■サービス残業と割増賃金の深刻な問題

よく起こる問題とその解決策

※この文章の最後に、参考資料を掲載しています。

さて、ある従業員さんが残業代をもらっていない、又は少ない事に腹を立て労働基準監督署に労働条件通知書、タイムカード、給料明細を持って行きました。

・労働条件通知書には、所定労働時間が1日8時間、完全週休2日制
・労働時間の合計が月に240時間
・給与明細には、基本給と通勤手当のみ又はあっても、残業手当○万円の定額支給

こんな場合、結論から言ってアウトです。
★残業代が給与明細にありません。

残業手当があっても定額支給で何時間分なのかも分からない。
監督署は、残業に対する未払い賃金の支払命令を下すでしょう。
それも給与総額(通勤手当等一定の項目は除外しますが)から割増賃金を算定され、最悪2年分遡及されます。さらに、他の社員についても調査するでしょう。
もし、あなたの会社が雇用保険はおろか、労災保険にすら入っていない、36協定も届けていない・・・
そんな非常に悪質な違法状態ではないことを祈ります。

「うちみたいな小さな会社に監督署が来るわけがない!」
⇒従業員の申告があれば、間違いなく来ます。

「うちの会社を潰す気か!」
⇒給与の未払いで会社を差押える事が出来ます。

では、その解決策について
・生産性を上げる
・残業代を正確に支払う
・繁忙期を特定し、変形労働時間制を導入する
・パートさん等従業員を増やす
・給与体系を見直す

今回は、「給与体系を見直す」について述べたいと思います。
中小企業では、いわゆる残業代等「ブッコミ」で給与を支払う所を見かけます。
非常に危険です。
給与明細に記載がなければ、残業代を支払った事にはなりません。
少なくとも監督署は、そう見ます。
残業代込の給与ならば、何時間分の残業代なのかを正確に計算して明記して下さい。
そして、改めて労働条件通知書を発行して従業員さんに署名捺印をもらって1通ずつ保管して下さい。

何時間分の残業代か分からない。
どんな計算をすれば良いのか分からない。

そんな時"割増対策移行シミュレート"が 御参考になれば幸いです。
割増対策移行シミュレート (Vector:ソフトフェアにてダウンロードしてお使い下さい)
サンプル画像

(注意)この割増対策移行シミュレートは、一定の目安になればと思いエクセルで作成しております。

  • シミュレート(試算)以外に使用しないで下さい。
     実際に、給与形態を変更する場合等は、専門家に御確認下さい。
  • このシミュレートにより被害が生じても何ら責任を負いませんので、悪しからず御了承下さい。
  • あくまで従業員さんと会社が労働契約をする際に、何も知らずに残業代込の給与で契約した、又は契約する事を是正又は防止する事が目的です。
  • 労働条件の不利益変更を助長するものではありません。